大学の軽音部でPAやってみた②
- EN-LAB.
- 3月28日
- 読了時間: 5分
その2 セッティング考案編
さて、前回S大学軽音部の部室を訪れライブに使う機材をリサーチしてきました。
思ったより充実している機材たちに驚きながら祇園に戻った我々は、早速セッティングについて考えたいところでしたがEN-LAB.でのイベントが待っていたため一旦お預け。
週明けにライブに向けたセッティングについて考えることになりました。
まず、インプットチャンネルです。
メインとなるミキサーのMG24/14FXには16モノ+4ステレオの合計20のインプットチャンネルがあります。しかし、インプット用のマルチボックスは16チャンネルだけですのでステージに設置するマイク+D Iを16以内に収める必要があります。
そこで、ひとまずこういうふうに考えてみました。

一番上が使用するマイクor機材、その下がパート名、その下が接続に使うケーブル、さらに下がインプットチャンネル。
一番左を例にとって見ると、ATM25というマイクをKICK(バスドラム)に設置して、XLR(キャノンケーブル)でマルチボックスのインプット1に接続するという感じです。
割と一般的なマイキングですが、一箇所気になるのがKey(鍵盤)チャンネルがひとつしかありません。場合によっては、シンセとエレピの2台使いをするバンドだってあるはず。
これはEN-LAB.のPAスタッフのアイデアを採用した結果、こういうセッティングになりました。
そのアイデアとは、鍵盤を2台使いする人がいた時に予備のJ C-120(ギターアンプ)を使用するというものです。

詳しく書くと、まずシンセのモノアウトからシールドでJ C-120背面のMAIN IN(古いタイプのJ C-120はリターンがない)に接続する。続いてエレピのモノアウトからJ C-120背面のもうひとつのMAIN INに接続する。そして、J C-120背面のLINE OUTから出力してDIに繋いでマルチボックスのインプット10に送るというもの。
このセッティングをするメリットは
・インプットチャンネルが節約できる
・鍵盤奏者が取ったシンセとエレピの音量バランスをそのまま出力できる
・J C-120がキーボードアンプ代わりとなり鍵盤奏者がモニターがしやすくなる
デメリットは
・シンセとエレピの個別設定を卓側でできない
中音が聴こえづらいという話を聞いていたのと、転がしモニターに鍵盤プレイヤー用が足りていないこと、インプットチャンネルが不足していること等を踏まえて考えるとこの案を採用することにしました。
その他のマイキングは、コンデンサーマイクがないこともありSM57、SM58の2種類で固めます。
次に考えたのが、メインミキサーのin/outとインサートについてです。

in/outは特に難しいことを考える必要もなくステレオアウトをメインスピーカー、モノアウトをサブウーファー、AUX1〜4を転がしモニターとして出力用の8chマルチボックスに繋ぎます。
アウトボードのインサートはステレオインサートにメインスピーカー用として唯一のグライコであるQ2031Bを投入します。
グループインサート1〜4にはMDX4600という4チャンネルのコンプ&ゲートを入れてドラム中心に使っていく予定に。
ここで少し困ったのが、空間系エフェクターの投入です。
今回使用するミキサーMG24/14FXには2系統の内蔵デジタルエフェクトがあり、ひとつはボーカル用リバーブに、もうひとつは楽器用リバーブ(ドラム以外)に使用するため、ドラムリバーブ専用として部室にあったZoom Studio1204を使用することにしました。
ただ、MG24/14FXのセンドリターンに接続するとSTバスとAUX 1〜 4バスへ送られる仕様のようでドラムチャンネルだけに送ることができなさそうです。
そこで仕方なくドラムのコンプ&ゲートとして使うMDX4600の1&2チャンネルにインサーションケーブルとパッチケーブルを使い強引にZoom Studio1204をセンドリターンすることにしました。
この手法でいくとリバーブのインサートポジションがポストになってしまいますが、Zoom Studio1204のフロントにあるDRY/WETのつまみでリバーブ量を調整しながら様子を見てみることにします。
最後に考えるのがパワーアンプとスピーカーの設定です。

メインスピーカーにはEV/Q1212をステレオで使用します。
サブウーファーにはYMAHA/P3500sをパラレルで左右に出してモノフェーダーで音量を調整します。
以前はステレオアウトから1台のパワーアンプに送りパラレル接続したメインとサブウーファーを繋いでいたらしいので、パワー不足なのかサブウーファーの低音に中高音が飲み込まれたのかとにかくボーカルやギターが聴こえないという話でしたがこれで解決するでしょう。
部室の練習スタジオで見つけたEMX312scとEMX5は転がしモニター用に使用します。
EMX312scには6バンドのグライコがついていて、EMX5には7バンドのノッチフィルターがあるフィードバックサプレッサー(ハウリングを自動的におさえてくれる装置)があったのでボーカルの返しに採用。
もう1台のYMAHA/P3500sはマルチエフェクターFX2000をかまして下手とドラムの返しに採用。FX2000をかます理由としては6バンドのグライコを内蔵しているのでそれを返し用に使ってみようという思惑です。
これで全てのセッティング案がまとまりました。
すでに脳内では改善されたサウンドが鳴り響き笑顔で喜びあう学生たちの姿が浮かんでいます。
さあ、あとは次回これを現場でセッティングしてうまくいくのかどうか。
その③ 本番編へと続きます。
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