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大学の軽音部でPAをやってみた①

更新日:3月27日


EN-LAB.の堀です。


先日、学生スタッフから「キャンパスで行う軽音部ライブの音響を改善して欲しい」という依頼を受けPAスタッフと共にS大学に行ってまいりました。


そこで多くの貴重な体験をさせてもらい、これはブログに記しておく価値があると思ったので頑張って書いてみました。

少々長いですが、最後まで読んでくださいね。



その1 機材リサーチ編


音響改善の使命を受けた我々は、まずは機材リサーチから始めることにしました。


ライブ開催予定日の1週間前、S大学へと向かいます。

自然豊かでのどかな空気に包まれた素晴らしいロケーションのキャンパスへ向かうには険しい道のりが待っています。


最寄り駅からもだいぶ遠いということもあり、祇園でタイムズカーをレンタルした我々は小旅行気分でマクドナルドのドライブスルーに立ち寄りハンバーガーを食べながら呑気に車を走らせました。


EN-LAB.を出発してから約1時間、現場に到着。


礼儀正しく爽やかな部員の皆さんが出迎えてくれました。


彼らの話を聞くところによると、「コロナ禍にライブの開催が禁止されたたままの状態で先代が卒業し、部活内で代々受け継がれてきたPAのノウハウや機材の知識がそこで途絶えてしまいキャンパスでのライブ時に音響がうまくいかず苦労している」ということらしい。


同じような話は、この大学に限らずあちらこちらでよく耳にします。

大学軽音界にとっては大きな社会問題。

なんとか力になりたいですね。


早速、我々は案内された部室にあった機材たちのリサーチから始めることにした。


MG24/14FX
YAMAHA / MG24 14FX

まずはメインミキサー

YAMAHA / MG24 14FX


古いタイプのアナログミキサー。

空間系エフェクトは内蔵していますが、コンプはついていないようです。


ちなみにEN-LAB.にあるアナログミキサーは、YAMAHAのMGP24Xという同じMGシリーズの後継機種で1-Knob Compがついていて便利です。


これはダイナミクス系のアウトボードをインサートしないといけないようです。




アウトボード
アウトボードたち




次はアウトボードたち。


上からBEHRINGER / MDX4600

ゲートやコンプが4チャンネルあって結構使えそう。


その下がBEHRINGER / FX2000

マルチエフェクターみたいです。これを買った部員さんはどういう目的で導入したんだろう。


さらにその下がZOOM STUDIO 1204

空間系のマルチエフェクター。ボコーダーまで搭載している。


そして一番下がYAMAHA / Q2031B

31バンドのグライコ。これはありがたい。





EV / Q1212
EV / Q1212

次にパワーアンプ。

EV / Q1212。


いいアンプあるじゃないですか。


ライブの時以外は使わないみたいで買った時に梱包されていた段ボールに保管してありました。おかげで埃をかぶってなくて綺麗です。


このあたりから良い予感がしてきました。








YAMAHA/P3500S
YAMAHA / P3500S


そして次もパワーアンプ。

YAMAHA / P3500S。


これが2台あったので、Q1212をメインスピーカー用にして、こちらをモニター用に使っていたのかな。


気になるのはボリュームつまみがフルテンになっていること。おそらく前回のライブの設定がそのままということだろう。


転がしモニターからの返しが聴こえなくて苦戦した結果、苦肉の策としてこうせざるを得なかったのか。



EV ELX215
EV / ELX215





その次にメインスピーカー。

EV / ELX215。


まじか!めっちゃいいのあるやん。

15インチ・ウーハーが2発もマウントしてある高さ115センチの大型スピーカー。


これで外音は問題ないでしょう。



EV ELX118
EV / ELX118


メインスピーカーに感動していたらなんとサブウーファーまで発見!


EV / ELX118。


18インチのサブウーファーを有効活用できる会場なのか、、、?


聞けばいつもはメインスピーカーのELX215とパラレル接続をして使っているという。


それはどうなんだろう。

改善の余地ありそうです。


とにかく使うこと前提で考えてみます。






YAMAHA / SM12V
転がしモニター

続きましてモニタースピーカー

YAMAHA / SM12V(3台)

YAMAHA / S12e(2台)


その外観が軽音部の激しいライブの歴史を物語っています。


まずはグリルを取り外して埃の除去から始めたいところです。




YAMAHA / EMX5
パワードミキサー

そして部室の練習スタジオで見つけたパワードミキサー


YAMAHA / EMX312sc

YAMAHA / EMX5


普段のライブでは不使用とのことですが、これを使わない手はない。

頭の中で音響システムの基礎が組み上がってきました。



音響機材
マルチボックスとマルチケーブル

8chと16chのマルチボックス&ケーブル。


卓からの出力用と入力用ということか。

欲を言えば入力用にあと8chあったら嬉しかったがまあ問題なし。


EN-LAB.ではデジタルステージボックスとLANケーブルのシステムに慣れてしまっているので少しだけ面倒くさいけどワクワクする。


音響用ケーブル
ケーブル類


ケーブル類もキャノンからスピコンまでひと通り揃っているようです。


心配なのは断線していないかということ。

この日、ケーブルチェッカーを持参したものの時間的都合(夕方からEN-LAB.のイベント)により全てのチェックはできませんでしたが、後にこれがトラブルを呼ぶことになります。


見当たらないのはアウトボードのインサートに使用するインサーションケーブルとスピコン対応じゃないモニター用のTSスピーカーケーブル。


ガムテープで束ねてあるのが気になりましたがこれも部の伝統かもしれないということで見逃します。





マイク
マイク

マイクもたくさんありそうです。

SHURE / SM58(9本)

SHURE / SM57(9本)

これだけあれば何とかなりそう。


さらにキック用に

audio technica / ATM25

なんと素晴らしいマイクが。

これは嬉しい誤算。


ちなみにコンデンサーマイクは1本もないもよう。


この時も時間的制約でマイクの細部まではチェックしなかったのですが、これが後にライブ本番で悲劇を招くことになります。








ドラムセット
YAMAHA ドラムセット

最後に楽器類の調査です。


まずはYAMAHAのドラムセット。

マッドなブラックで渋いです。


タムの径も大きくていいなあとか呑気にみていたせいで細部のチェックを怠り、これが後にライブの本番で惨劇を生むことになろうとはこの時の我々はまだ知りません。







Ampeg / SVT-450
Ampeg / SVT-450

ベースアンプ・ヘッド

Ampeg / SVT-450


キャビネットは2発の男前なやつです。


DIは全て鍵盤用に使うため、ヘッドのBAL.OUTから

キャノンで卓へ送っているそう。






Marshall / JVM210H
Marshall / JVM210H

ギターアンプヘッド

Marshall / JVM210H


JVMを使うとはなかなかやりますね。


ちなみにEN-LAB.もJVMを使っていますが扱えない演者さんが結構多いので、いつかDSLとかも導入したいところです。





ROLAND / JC-120
ROLAND / JC-120

ギターアンプ

ROLAND / JC-120


ずいぶん歴史を刻んできたモデルのようです。

空き瓶のケースの上に置かれているのがワイルドでかっこいいです。


2基あったので有効活用方を考案してみます。




ROLAND / JUNO-D
鍵盤

ROLAND / JUNO-Dと

CASIOのエレピ。


すごい、ちゃんと二段のスタンドも。


キーボードアンプは無いらしいので

ライブで中音が聴こえやすいように

少しアイデアを絞ってみます。





以上で機材リサーチは終了です。


この時の感想としては

「予想してたより機材が充実しすぎなんですけど」

という一言に尽きます。


もっとボロボロで脆弱な機材たちと格闘することを予想していたので拍子抜けです。


だいたいこんなもんなの!?

大学の部活とか公認サークルは!?


さて、この機材たちをどう活かしていくか。


前回、部員たちだけでライブをした時の問題点が

・外音、中音ともボーカルがよく聴こえない

・返しモニターの一部が鳴らない

・全体の音がまとまらない

などの問題があったとか。


彼らが前回どういうセッティングでライブをやったかはまでは詳しく聞きませんでしたが(ここが反省点として次回以降に活かします)それでも何となくは想像できます。


今回のテーマは「新しい機材は買わない!」です。

勝手に私が決めたテーマですがなるべく予算は使わせたくありません。


今ある機材のみをフル活用して、いかに音響を改善できるのか。

ここにロマンがあると信じてEN-LAB.に戻りセッティング案を練ります。


その2 セッティング考案編へ続く





 
 
 

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